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欅坂46『サイレントマジョリティー』のメロディの特異性について

音楽 欅坂46

遅ればせながらこの曲を聴いたのだが、メロディに対して非常に興味深く思った。

www.youtube.com

サイレントマジョリティー

サイレントマジョリティー

  • 欅坂46
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

早速、アナリーゼというには大げさだが分析を行ったので考察を記しておく。好き・嫌い、いい・悪いのような下手な賞賛や批判の言葉は使わずに書きたいと思う。

 

基本情報

作曲:バグベア

編曲:久下真音

123 BPM

4分の4拍子

嬰ト短調

 

総論

メロディは、

  • A、C(サビ)の頭の順次進行
  • 調性にない音が出てこない

という単純な音階の使用に対して、

  • シンコペーションを多用したリズム

に特徴があるといえる。私は、いい曲の多くはシンコペーションが頻出するという考えを持っており、この曲も名曲たる条件を備えているといえる。しかし、

  • 女性ボーカルにしては低い音域のメロディ
  • 同様のメロディの単純な反復が少ない

ことも特徴であり、特にCの頭でこれだけ低い音域を使うのは「Cでは高い音域を使う」というJ-Popのセオリーに反する。また、繰り返しが少ないということは聴き手の記憶に残りづらいということであるが、それにもかかわらず鮮烈な印象を与える。当人からすれば「いや、お前が誰だよ。」でしかないが、「バグベア、何者だ?」という感じである。

バグベア – 株式会社ハイキックエンタテインメント

編曲の久下真音氏とはともにハイキックエンタテインメント*1所属である*2ことを考えるに、彼によってある程度アレンジされた状態で上がってきたのではないだろうか。

C、Dでは同主調の変イ長調へ転調する。変拍子が取り入れられており、Bの8小節目では4分の7拍子となる。

アレンジでは、左右でリズムの異なるアコースティックギターとハンドクラップが特色である。

(イントロのコード進行が『冷たい花』と同じだ。)

 

A

Aについては

|G-AB--C-D--D--D-|F--E--D-D--C--r-|

(rは休符)

で始まる4小節をモチーフとした8小節を2回繰り返したものと理解できるが、後半4小節は

(G-)|G--B--C---D-r---|~

と異なり、聴く者を惹きつける。これは2Aを基本形としたほうが理解しやすい。想像でしかないが、1番の後半4小節は後から付け加えられたのではないだろうか。2番の

あ-あ

に対し、

1番を

あ-あ'-あ-あ'

と解釈したいのだ。そうでなければ、バグベアは長いメロディをまとまった形で作り出す力があるということだ。

アレンジ面では、1番と2番のいずれも2回目からドラムが入り進行感が加わる。

 

B

特徴的なA、Cと比べると普通である。前半の「ああ、こいつか」というコード進行をみてもそうだ。3+4の7拍子以外はだが。変化を狙い、あえて抑えめにしているのだろう。メロディやコード的に転調への伏線もない。強いていえば、3-3-2-3-3-2拍のリズムがモチーフか。

 

C

この記事を書くきっかけとなった異常なメロディがCのそれである。

|AGA-BB-C-D-E--EE|-E-EEFE-F-F-F-A-|~

導音の業がなすものか、最低音がサビで出てくるのだ。一方で、Cの6小節目途中から一気に駆け上がり最高音まで達する。

~EFF-G-|A-AAA-E-r-E-D-C-|B---B-A-----r---|

ところでこのメロディ、Aでも書いたが8小節もの長さになっていて作曲面でのそれ未満の区切りがよくわからない。1小節ほどの短いメロディを展開させてある程度の長さにすることは優れた作曲家でも行っていることだが、するとやはりバグベアは長いメロディを思いつけることになる*3。さらに、16分のシンコペーションの部分と単純な8分の部分が対比となっている変化に富んだメロディにもかかわらず、自然にまとめ上げている。他の芸術と同じく誰も思いつかないものを作り出すことを才能というのなら、バグベアのそれは相当なものといえるだろう。また、このような特殊な曲をデビュー曲にもってくるというマネジメント側の勇気というか審美眼も無視できない。

 

D

A、Cに比べると普通。

 

おわりに

ただ、ギミックに富んだ音楽はソルフェージュをしていて楽しいが、はたしてシンプルな音楽と比べて優れているとまでいえるのだろうか。もしそうなら、現代音楽がその名の通り現代の音楽となって流行しているだろう。

 

他にレビューした欅坂46の曲

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サイレントマジョリティー(TYPE-A)(DVD付)

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*1:初めて聞いたけど

*2:いいなー、私も入りたい

*3:あ、でも私もやってた。全体で思い付かず紡いでいく方式でだが。作った曲を人に聴かせたときに「繰り返しが少なくて覚えられない。」といわれた私のやり方は間違ってなかったと溜飲を下げるのだ。センスがあるかは別であるが