「Apple Digital Masters」という規格(ブランド?)を知った。
かつて「Mastered for iTunes」というネーミングだったその名前が示す通り、このロゴが掲げられたiTunesやApple Musicで配信されている楽曲は特別なマスタリングプロセスを経ている。おそらく大多数のその他のストリーミングサービスは、ユーザがCDからリッピング→エンコードしたものと同じ品質である。一方、Apple Digital Mastersでは24 bitマスター音源が使用されているのだ。
そのことにそそられ、加入していたSpotifyと聴き比べてみた。Apple Musicの方が繊細な音に感じた。上は以前の記事である。1年前にも乗り換えたばかりなのに乗り換えるのか?
乗り換えた。
今では快適なApple Musicライフである。
Apple Digital Masters
さて、当ブログらしく信号処理的な観点でネットの情報をもとにApple Digital Mastersについてまとめてみた。
ほかの配信プラットフォームでは以下の過程を経ている。
- スタジオマスター(48-192 kHz / 24 bit)
- →CDマスター(44.1 kHz / 16 bit)
- →AAC等(44.1 kHz / 32 bit float、256-320 kbps)
それに対し、Apple Digital Mastersでは制作マスターをそのままエンコードしている。
- スタジオマスター(48-192 kHz / 24 bit)
- →中間ファイルCAF (44.1 kHz / 32 bit float)
- →AAC(44.1 kHz / 32 bit float、256 kbps)
途中16 bitへの丸めやディザリングを介さないので音質が向上できるという理屈である。また、44.1 kHzへのサンプリングレートコンバータにもAppleのこだわりがあるらしい。
なお、低ビットを32 bit floatにしたからといって入れ物が大きくなるだけで、音質が向上するわけではないということには注意してほしい。あくまで中身は16 bitや24 bitのそれである。されど、ダウンコンバートされた16 bit(従来)とマスターの24 bit (Apple Digital Masters)ということだ。
さて、私は常々サンプリングレートの向上よりもビット深度の向上の方が音質の改善につながる(感じやすい)と思っている。Apple Musicの方が良いと感じたのもビット深度の向上によるものだろう。もちろん、非可逆圧縮されているのでその分解能がどこまで保存されているか疑問は残るが。
Apple Digital Mastersの確認方法
MacでもiPhoneでも、iTunes Storeで表示し、「APPLE DIGITAL MASTER」のロゴがあるかどうかで確認できる。Apple Musicで確認できないところは改善してほしいところだ。