iMovieを使って以下のようなリリックビデオを作りました。
曲に合わせて歌詞が出現していくタイプライター風エフェクトは、iMovie単独ではほぼ不可能ですがKeynoteを組み合わせればできます。というか、タイプライター風エフェクトに限らずiMovieのテロップ(タイトルという)機能は貧弱なので、テキストはすべてKeynoteを使って生成しています。
iMovieでタイプライター風エフェクトを再現する方法
iMovieにはグリーン/ブルースクリーンエフェクトという機能があり、緑や青の背景の動画を透過・合成することができます。それを利用して、Keynoteで作成したタイプライターアニメーションを動画形式で書き出し、iMovieに取り入れるという流れになります。
Keynoteでタイプライターアニメーションを作成する
1シーンごとにKeynoteファイルを作成してください。
1. ワイドなテーマ(ブラック等)を選択する。
2. 作成したい動画解像度が1920x1080以外の場合、画面右上「書類」をクリックし、「スライドのサイズ」から「カスタムのスライドサイズ…」をクリック。動画解像度に合わせたサイズを設定しておく。
3. 画面右上「フォーマット」が選択されていることを確認し、画面右「スライドレイアウト」でカラーピッカーをクリックする。
4. 「カラーつまみ」タブをクリックし、プルダウンから「RGBつまみ」を選択。「16進数カラー値」に「00FF00」を入力し、「カラー」インスペクタを閉じる。
5. 画面上「テキスト」をクリックし、歌詞等を入力する。
6. 適切にテキストのスタイルを設定する。動画例では、フォントサイズは96 pt。明るい背景での白文字の視認性を考慮し、ぼかし6 pt、オフセット0 pt、不透明度100%、角度45°でシャドウを設定(「フォント」の歯車マークから)した上に、ぼかし5 pt、オフセット2 pt、不透明度50%、角度:270°でドロップシャドウを設定(「スタイル」タブのシャドウ)した。フォントのシャドウはもうちょっと効かせた方がよかったかもしれない。
7. 画面右上「アニメーション」をクリックし、「イン」タブの「エフェクトを追加」からタイプライターを選択する。なお、動画作成時点ではKeynoteが対応していなかった縦書きは、行ごとにテキストボックスを分割し、1行1文字となるまでボックスの幅を狭めることで実現している。この場合、文字間隔が大きくなるため、行間隔を0.5にした。アニメーションの「順番」を表示順に1, 2,...と設定すれば、自動で連続して再生されるようになる。いずれにせよ、まだ試していないがKeynote 9.0より対応した縦書きはこの工程を楽にしてくれるだろう。
8. ファイル > 書き出す > ムービー…から書き出す。設定は、「次のスライドに移動」「次のビルドに移動」は0秒後、解像度は「1080p」または動画解像度に合わせて「カスタム…」にする。
iMovieでタイプライターアニメーションを合成する
iMovieの基本的な使い方は以下の記事等を参照してください。
1. グリーン/ブルーバックのタイプライターアニメーションを選択して、それをタイムライン上、プロジェクト内のクリップの上にドラッグ&ドロップする。
2. ビデオ・オーバーレイ・コントロールが表示されていない場合は、「ビデオオーバーレイ設定」ボタンをクリックする。
3. プルダウンから「グリーン/ブルースクリーン」を選択する。
曲に合わせて歌詞の進捗を調整する
流れではなく、作業のポイントを羅列しておきます。
ミュージックビデオを作成する場合、タイムラインの下のBGM領域に楽曲をドラッグ&ドロップしてあると思います。動画にも音声が付いている場合、ミックスして再生されないようにオーディオを切り離し(option + command + B)、削除するといいでしょう。
「←/→」キーでフレーム単位で移動するので歌詞合わせの参考にします。その際、一瞬音声が再生されますが、悟りを開くと何て言っているかわかりようになります。
タイムラインの何もないところをクリックして三角付き縦棒を表示させておいて、そこにスナップさせると位置合わせが楽です。
command + Rで速度エディタを表示して曲のスピードに大まかに合わせます。クリップを分割したり、フリーズフレームを追加したりして曲に合わせていきますが、パラノイアでなければ文字単位で合わせなくても結構です。
静止画の歌詞もKeynoteで作成した方が自由が効く。「Keynoteでタイプライターアニメーションを作成する」の1.〜6.を行い、書き出して合成すればOK。書き出しは、ファイル > 書き出す > イメージ…からフォーマットPNGで行う。なお、シーンごとにKeynoteファイルを分ける必要はない。
その他iMovieのTips
「↑/↓」キーでクリップ単位で移動します。
spaceで再生/停止、¥キーで最初から再生。
動画例で使用した素材はすべて「Pixabay」のものを利用しました。ほとんどが商用利用可、帰属表示不要なので便利です。
余談
iMovieヘルプによると、
ムービープロジェクトの解像度とフレームレートは、タイムラインに追加される最初のクリップによって決まります。
という謎仕様。「タイムラインの最初にあるクリップ」なのか「時間的に最初に追加されたクリップ」なのかは不明。
iMovieで書き出された動画はオーディオのサンプリングレートが48 kHz固定(?)というクソ仕様。あいにく動画例の楽曲は44.1 kHzで作成していたため発狂。オーディオのサンプリングレートに関しても上の仕様と同じことを期待したが、そんなことはなかった。以下は、先頭に所望スペックの短い動画を追加すればいいんじゃないかと実験した残骸。
というわけで、オーディオはタイムラインの表示を参考に手動でmuxした。エンコードにはafconvertコマンドを使い、muxにはFFmpegを利用した。以下の記事を参考にしてもらえたら私も生きた甲斐があるというものである。
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