まるで夢のようだ。
といっても、嬉しいことがあったという意味ではない。
音楽には聴いていた頃を呼び醒ます力がある。光景、情感、空気、時代感。まるでその時間、その場所に連れ戻してくれるような。
私はそういう曲を多くは持ち合わせていない。おそらく、とびきり好きな曲はin-timeで聴けなかったからだろう。そんな私に当時の情景を痺れるように思い起こさせる曲がある。
Blue Daisy*1 - the brilliant green。
再生と同時に左耳から聞こえる密度の濃いギターの音。それとともに当時の記憶が蘇ってくる。
2010年。
ワールドカップの熱狂に列島が沸いた年だ。本田圭佑の放つボールが描いた不思議な曲線が目に浮かぶ。飛び跳ねて喜んでいる遠藤。日本代表にとって最高に成功したワールドカップ。しかし、切なくなるのはもう一つの思い出にも連れて行ってくれるから。
ある街の夜景の中に私はいる。友と過ごしたあの時代、あの場所。
私は今、ひとりぼっちだ。
あの体験は夢幻だったように思えてしまう。しかし、確かに私はそこにいたのだ。
今はこの曲が、それを証明してくれる。
- アーティスト: the brilliant green
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2010/09/15
- メディア: CD
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*1:当時聴いていたのはシングル版のはずだが、なぜだかミックス、マスタリングし直されたアルバム版の方がスムーズにサウンドが進行し、記憶もより蘇ってくる。